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2009年度エチオピア視察旅行報告
 

2009年度エチオピア視察旅行報告


平成21年9月10日
特定非営利活動法人Campus Mate
理事長 岩城康裕

概要:
今回の視察の目標はICTの教育機関での利用状況の調査である。
副次的に、国内の必要な情報や新品/中古PCの流通状況と相場なども調べたい。
今後、将来の隊員候補を募りスタディーツアーなども行いたいと考えているのでそれに伴う調査も実施した。

エチオピアはサハラ以南のアフリカ国内第2位の人口をほこりながら、近隣国の情勢不安定の為 有用な情報が少ない。
今回の視察では主に首都アジスアベバおよび学術都市バハルダール周辺の市町村を周った。
視察の主な対象は、孤児院学校・大学・大学院などである。
また、ICTの状況を調べる為、新・中古品を扱うPCショップやinternetカフェを視察した。

全文はpdfをダウンロード下さい。
2009年度エチオピア視察旅行報告書PDF

2009年度エチオピア視察旅行報告書添付資料



目次
 

目次

視察概要
行程
国内基礎情報
視察先
1. バハルダール バハルダール大学
2. アジスアベバ シビラルサービスカレッジ(公務員大学院大学)
3. アジスアベバ アベベチ コバナ孤児院学校
4. PCショップ市場調査
5. internet cafe市場調査

番外 通信事情について(これまでとこれから)
   電気事情について(対応方法)
   ホテル事情について(相場と選び方)

視察を終えて考察(今後の活動について)

添付資料:各校に配布した資料一式、教育機関アンケート回答、英語名刺、アベベチコバナ代表者名刺、エノクコンピュータ代表者名刺、その他名刺数枚



考察
 

エチオピア視察を終えて

岩城 康裕:

今回、視察を行って判った状況や問題点を整理したいと思う。

コンピュータの普及率に関しては、都心部の富裕層に限れば十分に普及している。
コンピュータのショップも首都アジスアベバには数え切れないほどあった。
しかし、殆どの国民はコンピュータを所有していない。
固定電話の普及率も悪いとの事で、プリペイド式の携帯電話が普及している。

教育機関の状況であるが、
国立大学には十分新しいコンピュータが揃っており(殆どが外国からの援助ではあるが)、台数の面では問題がない。しかし、故障やウィルスなどによる稼働率には問題が多いと感じた。
安価な私立大学や専門学校、高校以下の教育機関においては機材の不足は深刻であり職員用のみというケースも少なくない。(直接視察に行く事が日程的に難しかったので、JICAエチオピアのPC隊員からの情報やバハルダール大学の職員に地域の高校の情報などを収集願った)

唯一、孤児院学校を視察したが孤児院が所有する学校ではコンピュータの教育は行っておらず生徒用にはPCは存在しない。職員用には相当数ある事を確認した。

どこの機関においてもハードウェアの要求は依然として大きかった。同時に、技術移転やインカムジェネレートに関する要望や期待は大きく将来に向かってICT分野が低所得者の希望と考えられている様であった。

さて、要望や状況に関しては以上の様であるがこの国特有の以下の問題が今後の障害となりそうである。

電気の問題
ネットの問題
人材の問題
法律の問題
政府の問題
税金の問題
資金の問題

電気の問題(ジェネレータやソーラーパネルを含むスキームが必要)
エチオピアは殆どの電気を豊富な水量を活かして水力発電で賄っている。
しかし、天気が不安定な高山地帯であるし乾季も存在するため、電力不足は深刻で乾季においては首都アジスアベバでさえ週の内半分以上は停電である(一部の重要施設を除く)
計画的に停電を起こしているので、持ち回りで電気が回復するが、事前に細かい日付や時間が判っている訳ではない。運が悪いと6日間毎夜電気が無いというケースもある。日中だけ電気があったり、夜だけだったりするので24時間中12時間電気が通っていても帰宅してみると使えなかったりするので、かなり困る。
ボイラーや調理器具も電気式が普及しているので、電気が無い日は蝋燭と炭の暮らしに戻るしかない。
途上国の中でも電気事情は最悪のレベルと言えよう。

ネットの問題(CDMAの入手とTOONELなどの方策を含めないと無理)
internetに関しては、普及率・回線速度共に最低水準でありアジスアベバ市内のinternetcafeや学校の大半はダイアルアップ(56Kbps)を複数代のPCで共有している。その為、異常に遅い。更に、電気事情が絡むためまともにinternetを活用する事は困難である。現在、ADSLやCDMAなどが一部で普及しつつあるがまだまだ一般的ではない。skypeなどの外部との通信に関しても政府が情報統制やテロ警戒のため通信を阻害している。

人材の問題(エノクとferedeが各施設の講師レベルに初期の教えを授ける必要あり)
英語が問題なく使えICTに理解のある人材は殆ど居ない。居たとしても一部の高等教育の教師である。殆どの優秀な人材は先進国に渡ってしまい帰ってこない。民間の会社が少ない事も問題を増長している。日本語に至ってはほぼ未知の言語である。現地で優秀な人材の卵を発掘し長期間育てていかないと難しいだろう。

法律の問題(現地でのNGOブランチの創設、または駐在員活動の登録)
エチオピア国内で外国のNGOなどが活動する場合、現地でNGOブランチを開設・登録するか駐在員登録をする必要がある。それを行わない場合、ビザそのものはビジネスビザを取得できても多くの活動に制限を受けるそうだ。特に後述する免税措置を受けるには現地での登録は必須である。

政府の問題(基本約束を守らない、仕事が遅い)
途上国の政府がなぜ途上国なのかを象徴している様に思う。贈収賄が横行し、担当者が変わる毎に公式のコメントが挿し変わる。その為、事前に取り付けていた約束も担当者が部署移動しているだけで履行されない。更に、日本人の感覚からすると仕事が異常に遅い。結果、相手を待っている間に担当者が入れ替わり全てがやり直しになるケースが多い。

税金の問題(何にしても物資の殆どに税金掛かるので、都度 免税申請しないと厳しい)
輸入商品全てに対して数百パーセントの関税を掛ける。貴重な外貨獲得手段とはいえそれでは外部資本は参入しづらい。NGOなどが寄付目的で持ち込んだとしても高額な税金がか必要な場合も少なくない。また、Tシャツでも何でも輸入商品が高額になる為、一部の高所得者以外は服すら気軽に買えない。新品のコンピュータに至っては年間の所得に匹敵する。
税金に関しては、一定の基準を満たせば免税措置を受ける事も可能であるが中々にハードルは高い。

資金の問題(アジスも含めて 輸入品が異常に高い)
輸入品が高い事で、現地で物資の調達に掛かるコストが他国に比べて割高であり多くの予算を消費せざるを得ない。また、中古の自動車やコンピュータも流通はしているのだが驚くほどの高額である。送料を支払ったとしても免税措置を受けた上でアジアやヨーロッパから運んだ方が安価になる可能性が高い。

上記問題を踏まえ、今後のプロジェクトスキームについて検討する。

まず、大きな2つの選択肢を示す
1.困難ではあるが全ての問題を解決して先に進む
2.ソフトウェア・コンテンツの配布やマニュアルの配布に限定し、最低限の予算で運
営して時期を待つ(電力は数年内に解決の目途がある)

上記の選択に関しては理事会で協議すべき事項である。

1の問題を解決していく方法であるが、
<電気>
 活動する事務所に小型のジェネレータを導入する事。
 ハイエースなどのバンを購入し、中に机と椅子およびインバータを入れガソリンさえあればどこでもコンピュータが使える環境を構築する。
 車用のバッテリーとソーラーパネルを組み合わせ移動可能な補助電源を導入する。
<ネット>
 費用対効果の高いCDMAを必要数購入し、事務所や車の車内で業務が行える様にする。
 internet高速化ソフトウェアTOONELを活用し、回線の遅さを緩和する。
 ダウンローダーなどのレジューム付負荷分散システムで回線切断に備える。
 団体のWEBサーバ内に支援用システムを置いて、必要に応じて巡回処理などをサーバ側で行わせる。
 スクールwikiのDVDやダウンロード済みのアカデミックアースなどの有用コンテンツを可能な限り事前に持ち込み、不要なダウンロードをしない。
 e-mailはヘッダのみを収集し、必要なメールのみを選択して受信する。
<人材>
 初期に団体で選定したコーディネイター若干名に数ヶ月の研修を行う
 主に4つを機軸とする
 コンピュータリペア技術
 MBAプログラムに基づく経営術
 英語および日本語を含む言語
 国際協力に関する考え方やNGOの意義など
 
 後に、コーディネイターによる高等教育機関のスタッフに対する技術移転を図る。
 高等教育機関には近隣の高校などへ更に技術移転を依頼し、最終的に初等教育レベルにまで一定の引き上げを狙う。
 こうする事で団体規模自体は小さくともレバレッジ効果により一定の成果を目指すことが可能である。
<法律>
 現地コーディネイターや受益機関関係者などによる現地ブランチを組織して貰う。
 当団体はそこを通し支援を行う形でスキームを検討している。
 プロジェクトマネージャーは年数回の視察を行うが、基本的に現地のコーディネイターを責任者として予算制による独立採算とする。
 これは現地コーディネイターに決済能力を認めることでオーナーシップを育て、士気を上げる事を目指している。
<政府>
 JICA草の根パートナーシップを目指す。
 これは上記スキームが事前に現地政府との約束事を取り付けることを盛り込んだスキームであり、小さなNGOとの約束は不履行に出来てもJICAや日本政府に対しては不義理を働かないだろうから大きな意義がある。
<税金>
 上記により約束事が履行され得ると仮定すれば
 正規の申請でコンピュータを当該国へ日本から輸出する事に問題はない。
 教育機関や福祉施設などへの寄付目的であれば免罪対象である事は前述の通りである。
<資金>
 必要な機材を事前に日本や中国などで用意し、免税申請の基で当該国に送る。
 但し、送料を考えると一定規模以上をまとめないと送料過多になる可能性は否めない。
 必要となる機材を事前に洗い出す必要がある。
 逆に、人件費や食費などは安価であるので上記が解決すれば予算を組みやすい。

2の方法について論ずる
電力は数年内に解決の目途があるという話の根拠であるが、これは大型の発電所が現在4個所で施工中で数年内には完成の見込みがあるとの事。
全部が完成すると現在の数倍の電力量を得られ、一般生活に支障が少なくなるはずである。
(とはいえ、今後電気を利用する国民が増える事も予想され得るので痛し痒しではあるが)
ソフトウェア・コンテンツの配布やマニュアルの配布に限定する事で、当団体本来の持ち味である技術開発に注力しその精度をもって事に当たる。
団体開発のソフトウェアやマニュアルなどは複製や再配布を認めているので郵送でコーディネイターに送付すれば現地で配布や周知を図ること容易である。

最低限の予算で運営可能であるし、十分な効果も期待出来る。

以上の考察を踏まえて関係者諸氏と討議を重ねて行きたい。






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